日記とか旅とか。

自分と同じ年齢の飛行機が、引退してしまう。

AIRDOには誠に勝手で特別な思い入れがある。

 

AIRDO(エア・ドゥ)は日本の航空会社。北海道と本州各地を結ぶ路線を持つ、北海道に本社を置く会社だ。
AIRDOの前身(というか改称前)の北海道国際航空は、1996年に設立。紆余曲折あって1998年12月に就航した。はじめは東京─札幌間を1日3往復。はじめは1機のみで運行していて、2機体制に移行したのは2000年7月のことだった。
(https://www.airdo.jp/corporate/info/history/)

 

就航から2年間、たった1機で支えていた初号機は、ボーイング767-300ERと呼ばれる形式。300人弱を収容できる。機体記号はJA98ADと呼ばれるものだ。
この機体、AWASというアイルランドのリース会社からリースをしていたもの。登録されたのは1998年2月。AIRDOに引き渡しされたのは6月のことだ。
(https://flyteam.jp/registration/JA98AD)

 

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中の人撮影。「8AD」の文字が見える。2020年2月に搭乗した旭川─東京線。

が北海道で産声をあげたのは、1998年4月。
つまり、1998年は、
JA98ADが登録される→なりー爆誕→JA98AD引き渡し→AIRDOが就航
が全て起きた年だった。
僕はJA98ADとも、AIRDOという会社とも一緒に成長してきたんだと思う。そうやって勝手に思っている。

 

ちなみに、これは完全な推測だけど、
「JA98AD」という機体記号は、AIRDOでの使用が前提だと考えている。
JA……JAPAN
98……1998
AD……AirDo
と分解できるからだ。

蛇足だが、2000年のAIRDO2号機も同じボーイング767-300ERだ。機体記号は「JA01HD」。
JA……JAPAN
01……?
HD……IATAコード「HD」から。たぶん「HokkaiDo」から取ってる。もしくは「Hokkaido International Airlines」から。結局「Hokkaido」だけど。
というような感じ。
「01」の解釈はいろいろありそうだけど、僕は勝手に「21世紀の1号機」とかじゃないか?と思っている。

 

ちなみに(ちなみにが多い)、IATA航空会社コードの他の例は、日本航空JL(Japan airLines)、全日本空輸NH(前身の日本ヘリコプター・Nippon Helicopter)など。利用者はあまり見ることがない。

 

 

この2つの機材(JA98ADとJA01HD)は特別な意味を持つ。
AIRDOのために作った機材だった、ということだ。
事実、現在使用されている機材は、これら以外はすべてANAから転籍したものだ。機体記号は「A」もしくは「AN」が入っている。

 

AIRDOでかつて運航していた機材も、

【2003年登録】
JA8251 ANA→ADO→ANA

【2005年登録】
JA8258 ANA→ADO
JA391K ANK→ADO→SNJ

【2006年登録】
JA392K ANK→ADO→SNJ

【2008年登録】
JA8404 ANKANA→ADO→AKX
JA300K ANKANA→ADO→AKX
JA8504 ANKANA→ADO→AKX
JA8595 ANKANA→ADO→AKX

【2009年登録】
JA8196 ANKANA→ADO→AKX
JA301K ANKANA→ADO→AKX→ANA
JA8359 ANA→ADO

【2011年登録】
JA305K ANK→ADO→AKX

と、ANAグループ→ADO→ANAグループ(一部例外あり)という生涯を辿っている。
(https://flyteam.jp/airline/hokkaido-international-airlines/aircrafts)
ADOはAIRDO、ANA全日本空輸ANKはかつて存在したエアーニッポン。AKXはANAウイングス。SNJはかつてのスカイネットアジア航空、今のソラシドエアである。

 

AIRDOは、2006年に民事再生手続を開始した。要は倒産したのである。
値下げを核とした運賃勝負は、体力勝負。結局大手に負けてしまった。
そこで手を差し伸べたのが全日本空輸コードシェアを行ったり、予約システムを利用させてくれたりした。今もそうだ。
その支援の一環で、ANAから多くの機材が転籍してきた。その方が安いし手っ取り早いから。

 

JA98ADとJA01HDは、ANAからやってきた機材が多数派を占める中、AIRDOオリジナル機材として奮闘していた。
でも、この2つも製造から20年以上が経ち、2021年度に退役してしまう。とうとう機材更新がやってきてしまった。航空機の寿命は一般的に20年と言われる。
(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45477600Q9A530C1L41000

 

AIRDOがAIRDOで在り続けるために、機材更新は必須である。
いつかその日が来ることは分かっていたけれど、お別れはやっぱり寂しい。

 

JA98ADのその日は、明日だ。
自分と一緒に22年を過ごしてきた会社の、自分よりも少しだけ早く産まれた機材のラストフライトを、明日、見てくる。

 

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2020年7月に撮影したJA98AD。羽田空港にいた。中の人が飛行機の窓越しから撮影。